Feb-24-2000

Story No206:コンビニ弁当


 一人暮らしの僕にとって、コンビニエンスストアなしの生活は考えられない。夜遅くまで仕事をした帰りにマンガを立ち読みしたり、切れてしまった生活用品をパジャマを着たまま買いに行ったり、えっちな本を手軽に買えたりと、非常に便利だ。特に、食事の面ではかなり助かっている。夕食は毎食コンビニエンスストアで購入した弁当と言っても過言ではない。
 そんなコンビニ弁当だが、以前に友人とカロリー表示の話をしたことがある。

「いやぁ、便利だよねカロリー表示」
「うん。便利だね」
「最近は、弁当のラベルを凝視して購入するものを決めちゃうよ」
「そうそう」
「少しでもカロリーを抑えないとね」
「…え?」
 同意してくれると思ったので、友人の反応にびっくりしてしまった。僕は続けて聞いてみる。
「だってほら、カロリーが少ないものを選んで買うでしょ?」
「買わないよ」友人は表情も変えずにさらりと言った。「だって、同じ値段だったらカロリー多い方が得じゃん」

 100円か200円がもらえるとしたら、200円をもらうだろう。狭い湯船と広い湯船なら広い方に入るだろう。ただの並より並つゆだくの方が美味しいだろう。彼女は一人より二人の方が良いだろう(但し大変)。大きいつづらと小さいつづらなら大きい方を選ぶだろう(但し舌を切られる)。彼は低カロリーより高カロリーを選んだ。そうだ、その通りだ。昔は、一粒で数百メートル走れるというキャッチフレーズの商品だってあった。今でも道頓堀で両手を挙げているアレだ。そうなのだよ。多い方が得するに決まっているのだよ。いつから僕は間違った考えを身につけてしまったのだろう。彼の意見にトマホークで頭をかち割られたような気分になって、僕は反省した。それからは高カロリーの弁当を選ぶようにしている。

 そんなこんなで、今日も弁当を食べていると、ある考えが頭を過ぎった。それは、弁当はどこで買っても同じなのだろうか?という疑問だ。普通のコンビニエンスストアは、全国で同じ製品を売っていると思う。それは、全部一律の味なのだろうか。否。
 コンビニエンスストアで売られている弁当は、同じところで作っているわけではない。本部が、指定の調理センターに材料を収めて、マニュアル通りに作っていると考えるのが自然だろう。マニュアル通りに作って同じになるかといえばそうでもない。調理方法が複雑であるほど、途中の誤差がどんどん大きくなって、最終形は異なった形になってしまう可能性が高いと考えられる。料理本通りに作っても失敗してしまった経験のある人ならわかっていただけるだろう。
 それに、材料だって微妙に違うはずで、各地区で調達しているのだと思う。従って、北海道と九州の同じチェーン店では、材料も作り方も違ってくることになり、味が同じ方がおかしいんじゃないかとさえ考えてしまう。
 そこで、全国で一番美味しい弁当を売っているコンビニエンスストアを探してみたい。北海道から南下しつつ、同じコンビニエンスストアで同じ弁当を食べ続ける。採点したらまた次の土地へ。こうやって、全国どの地区の牛カルビ弁当が旨いか決める。旅の途中で季節が変わり、「ここのはイケル!」と思ったら、単にマイナーチェンジしただけで今までの作業が無駄になるかもしれないけど。それどころか、採点していた弁当がラインナップから外れて泣いちゃうかもしれないけど。さらに、名物を食べないでハンバーグ弁当ばかり食べ続け、そのまま全国縦断した自分に気がついて号泣するかもしれないけど。

 こんな役に立たないことを考えながら、今日も高カロリー弁当を食べ終えた。最近、腹の周りがたぷついてきたけど気にしない。というか、むしろ嬉しい。脂肪と体重が増えて得をしているのだから。健康診断で中性脂肪とコレステロール値が増えていたのが嬉しい。増えて得をしているのだから。脂モノを取りすぎた影響か、抜け毛が増えたのも幸せだ。増えて得をしているのだから。
 Story No206 

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